何故くせ毛になるんだろう・・・くせ毛は毛髪のメカニズムが大きく影響しています。
湿気が多い日や雨の日などは髪の毛がうねってしまい、言うことを聞かない自分の髪の毛に嫌気がさしてしまう方も多いことでしょう。
くせ毛は遺伝によって起こる可能性が非常に高いものなので、親がくせ毛の場合はかなり高い確率で子供もくせ毛になります。
くせ毛は生まれつきだから仕様がない・・・とは言い切れません。
日々の生活習慣が影響して、後天的にくせ毛が生えてきてしまうことがあるため、生活習慣を見直すことでくせ毛は改善することもあります。
今回はくせ毛の構造と原因を分かりやすく解説していき、対策なども踏まえてく説明していくので、是非参考にして下さい。
目次
髪の毛の内部構造

1本の髪は、大きく分けると3つの層から構成されています。
一番外側をキューティクル、中間部をコルテックス、中心部をメデュラといいます。
キューティクルはバリア機能の役割
一番外側のキューティクルは硬いタンパク質が主成分で半透明のうろこ状のものが4~10枚重なって出来ています。髪の内部組織を守る役割を果たし、髪のツヤや感触を左右しています。
熱や摩擦などの外部刺激でキューティクルがはがれてしまうと、毛髪内部の栄養が流れ出しパサパサになってしまいます。
コルテックスは健康的な髪を保つうえで大切な部分
髪の約8割を占めるコルテックスは、繊維状のタンパク質が主成分です。この部分のタンパク質・脂質の構造や水分量が、髪の柔軟性や太さを左右します。また、含まれているメラニンの種類と量によって、髪の色が決まります。
メデュラは毛髪のうるおいや弾力性を守っている
髪の中心にあるメデュラは、やわらかなタンパク質が主成分です。外的な刺激で空洞ができやすいのが特徴です。
メデュラはある人とない人がいて、主に髪が太い硬毛の人にはメデュラがあり、軟毛の猫っ毛の人にはないと考えられています。
くせ毛になる構造的メカニズム 2つの要因
髪の内部構造のコルテックスにくせ毛の大きな要因が潜んでいます。
コルテックス内のタンパク繊維が均一でなかったり、タンパク質の結びつきが歪んだりする事で、くせ毛になり、その度合いによって癖の強さが左右します。
タンパク質繊維分布が不均一になっている
コルテックスには以下の2種類のタンパク繊維があります。
- 軟らかく水分を吸収しやすいオルトコルテックス(O-コルテックス)
- 硬く水分を吸収しにくいパラコルテックス(P-コルテックス)

これら2種類のコルテックスが規則的に並んでいると直毛に。不規則で、配列に偏りが出るとくせ毛になってしうのです。また、ホルモンバランスや栄養不足状態、加齢といった様々な要因から そのバランスを崩します。バランスが悪いと うねりが強い髪となってしまいます。
雨が降ると髪が湿気を含んで膨らんだりうねりが強くなるのも、この親水性の異なる2種類のコルテックスが毛髪内でスパイラル状に偏在することによるものだと考えられています。
これは良質なシャンプー&トリートメントを使用し、毛髪内部の水分量を適切に保つことである程度改善されます。
おすすめシャンプーはこちらの記事をどうぞ。
コルテックス内の結合がずれて歪んでいる

人間の毛髪の主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質の一種で、コルテックス内でいくつものアミノ酸が「水素結合」や「シスチン結合」などといった様々な方法で結びつき構成されています。
「水素結合」は水に濡れると結合がゆるみ、乾くとゆるんでいた結合が元にもどるという特性を持っています。
よく梅雨になるとくせ毛のうねりが出やすいというのは、この水素結合の歪みが関係しています。せっかくブローやアイロンでストレートにした髪の毛が、湿気を吸い込む事で元の歪んだ状態に戻ってしまうのはこれが原因です。
ちなみにこのような外気による髪のうねりを軽減するには、髪質改善系のメニューもオススメです。
→気になるあのメニュー「質感矯正」キュアチェンジって?
「シスチン結合」はS=S結合とも呼ばれ、強い結合で簡単には切ることができません。直毛やくせ毛など一人ひとりの髪質がちがうのは、このシスチン結合のつながり方の違いによると言われています。この結合がシャツのボタンを掛け違えたようにズレているとくせ毛になってしまい、歪みの度合いによってクセの強さが変わります。
ちなみに、このシスチン結合を一度切断してボタンをかけ直し、熱で固定するのが縮毛矯正です。
くせ毛の原因
くせ毛の原因には先天的な遺伝によるものと、ホルモンバランスの乱れなでによって起こる後天的なことが原因になるケースがあります。

直毛に比べ、くせ毛は頭皮の中で毛穴が少しカーブし、毛根部分が歪んでいたりします。
毛根や毛穴がゆがんでいると髪が生えてくる時にウネリのある髪となります。このゆがみの度合いによりウネリの強さも変わってきます。
先天的(せんてんてき)要因
先天的なくせ毛の原因はいくつか考えられます。まず最も多いのが遺伝です。

遺伝によるくせ毛
遺伝的な原因は、人種や体質によるもので、両親のどちらかがくせ毛である場合、子供もくせ毛になる確率は70%以上といわれています。
更に、両親が二人ともくせ毛の場合は、90%ほどの確率で子供に遺伝するようです。

くせ毛の遺伝に関しては、優性遺伝であるためにこれだけ高い確率で両親からくせ毛という特徴(毛根の形や毛髪内のたんぱく質のバランスなど)が遺伝されると考えられています。
男性の場合は母親からの特徴を強く遺伝する傾向にあり、女性の場合はその逆で父親からの特徴を強く遺伝する傾向にあると言われておりますので、くせ毛は両親から受け継ぐ可能性がとても高く、先天的要因のくせ毛は、縮毛矯正などを美容室で施術される美容的技術でしか改善することは難しいです。
因みに両親が直毛の場合は非常に高い可能性で子供の髪は直毛になりますが、10%程の確率で稀にくせ毛になる子供もいるようです。
この場合も遺伝が関係していると言われていて、隔世遺伝と言われています。
後天的(こうてんてき)要因
後天的要因として考えられるのが、ダメージによる髪の空洞化やホルモンバランスの乱れ、成長過程での変化によるもの、摂取物の偏りによる栄養不足、毛穴や老廃物の詰まり、加齢によるもの、病気やお薬などの副作用などです。
その中でも代表的な主な原因として、
〇カラーやパーマ、日常のヘアセットなどによる熱ダメージ、紫外線などで起こる物理的ダメージ
〇加齢によるホルモンバランスの乱れで皮脂や雑菌の増加
〇ダイエットなどによる偏った食事や睡眠不足、ストレスなどによって健康な頭皮が保たれていない
というようなことがあげられます。
ダメージによるくせ毛
パーマやカラーリングの影響で髪に負荷がかかるアルカリダメージ、ブラッシングやコテ、アイロンなどによる摩擦や熱ダメージ、紫外線にさらされる事によるダメージなど、髪を守っているキューティクルが傷つくことで内部のタンパク質が流れ出てしまい空洞化してしまう事で髪本来の形状が乱れてしまい、くせ毛になってしまいます。

ホルモンバランスの乱れによるくせ毛
ホルモンバランスが乱れると体調が崩れたり髪質が変化したりと、体に色々な影響が出てくることがあります。
ホルモンバランスの乱れは、体の周期によるものと生活習慣によるものの2種類の原因があり、対処方法もまちまちです。
体の周期によってホルモンバランスが崩れやすいのは、以下の3つの時期です。
- 成長期(10歳~20歳までの思春期・青年期)
- 産後(産後3ヶ月位までが特に乱れやすい)
- 更年期(一般的に45〜55歳頃)
この時期にホルモンバランスが乱れ髪質が変わりやすいのは、ある程度仕方のない事です。出来るだけ規則正しい生活習慣を実践していくことが重要です。
生活習慣によってホルモンバランスが崩れやすいのは、主に以下の4つの原因が考えられます。
- ストレス
- 睡眠不足
- 体の冷え
暴飲暴食
この4点はホルモンバランスを崩してしまう大きな原因と言われています。
どれにおいても様々な理由から改善させることは容易ではないとは思いますがくせ毛になる原因としてはかなり大きく関係していきますのでやはり美髪を保つには出来るだけ規則正しい生活習慣を実践していくことが重要という事になります。
成長期に出始めるくせ毛
生まれた時からくせ毛の子供もいれば、成長する過程でくせ毛になる子供もいます。
「子供の頃はくせ毛じゃなかったのに!」とか「昔は髪の毛も柔らかかったのになぁ」なんて言葉は誰でもよく耳にするセリフです。
これはこの「成長期」が関係してくる事柄で、思春期後の3〜4年間のことを指すようです。
髪に限らず、子供の身体から大人の身体になる期間で、身体の内外に様々な変化が現れる期間となります。
子供の頃は頭蓋骨の変化も激しく、頭皮や毛根などが安定しにくい時期とされています。
成長と共にそれらが安定していくことで毛髪も硬く変化し、くせ毛へと変化していくと考えられています。
この成長によって出始めるくせ毛は遺伝との因果関係はないとされていますが、根拠はないですが個人的に長年お客様に携わってきた経験上関係していると思っています。
栄養不足によるくせ毛
髪は驚くほどその人物の体内環境を物語ります。
髪とは皮膚が変化したもので重要な排泄器官の役割を担っているからなのです。
よくサスペンスドラマ等で見かける毛髪の検査。あの毛髪の検査では、いつどんな薬を飲んでいたか?などが事細かにわかってしまいます。
その他にも睡眠状態やストレス、食生活なども解明することができ、頭皮からどれくらい髪が伸びているかという逆算でそれがいつどれくらいの期間で、ということも判断することのできる非常に多くの情報が刻み込まれているテープのような器官なのです。
つまりは食、睡眠、ストレスなど様々な影響が髪に出ると考えて当然です。
健康な髪は健康な頭皮からつくられます。
血行が悪く頭皮に栄養が行き届かない状態は、毛髪内のたんぱく質が不足し、細く弱々しい毛髪になって髪の毛がうねりやすくなってしまいます。主に過度なダイエットや睡眠不足時に大きく乱れる事が多くきちんとした食生活を送り、健康な髪を育てる事が大切です。

髪の毛は主にタンパク質で出来ているので、良質なたんぱく質がとれる大豆製品などがおすすめです。
また、血行が悪いと頭皮が硬くなってしまいます。頭皮マッサージなどをして血の巡りを良くすることも非常に有効です。
毛穴の詰まりによるくせ毛
ファーストフードやジャンクフードなどの脂質の多い食べ物を摂取したりすることで、頭皮の皮脂が増えてしまいます。
この皮脂が増えることによって、毛穴が詰まり気味になってしまい真っすぐに伸びるはずの髪の毛が圧迫されて髪がうねりやすくなります。
毛穴を詰まらせる主な原因は以下の3点です。
- シャンプーやトリートメントの洗い残し
- 過剰な皮脂分泌
- 油っぽい物ばかり食べている食生活の偏り
特に過剰な皮脂分泌は、髪の毛の洗い過ぎや、洗浄成分の強すぎるシャンプーによって地肌が乾燥し、頭皮が一生懸命皮脂を分泌している場合があります。皮脂が出過ぎるからと言って、何度も過剰にシャンプーをするのは注意が必要です。


加齢によるくせ毛
加齢によって、顔にしわが増え始めます。
これは筋肉繊維がゆるんでくることによる現象ですが、これは顔だけではなく頭皮にも同じことが起こっています。
この現象が頭皮で起こっているということは、毛穴が歪んでしまう原因になります。

又、年齢を重ねることにより髪にも様々な変化が現れます。それが髪密度の低下によるくせ毛です。
白髪が増えてきたり、弾力がなくなってきたり、髪の本数が減ってきたり・・・その変化のひとつにくせ毛が出てきたり、くせ毛が強くなることも含まれているんです。
上記したように、くせ毛とはそもそも髪の毛内部の2種類のたんぱく質繊維(コルテックス細胞)が偏って分布することによって髪にうねりが出てしまいます。
この現象は、毛根に栄養や酸素を運ぶ機能が徐々に衰えてくるため、毛根でつくられる毛髪が細くなり、その結果として起こると考えられています。
病気や服用薬による副作用のくせ毛
病気やそれによる薬の副作用でくせ毛になってしまうケースも見受けられます。
よく知られているのは抗がん剤治療の副作用によるものです。もともとサラサラの直毛だった方でもチリチリしたくせ毛が生えてくることがあります。
治療中の縮毛矯正は状態にもよりますが、できない訳ではありません。薬剤自体は頭皮につかないように施せるので問題はありませんが、どのようなクセが出てきたのかは重要で(生えたては産毛のような柔らかいクセなので難しいかもしれません)それを見極めるしっかりとした美容師的技術と知識が必要になってくると思います。
他には、ネザートン症候群や常染色体優性遺伝などの先天性疾患など、毛髪奇形が生じる病気があるようです。
先天的4タイプのくせ毛
くせ毛が起こるメカニズムには毛根に問題があるとされています。
真っ直ぐな髪の毛の人は、毛根の形も真っ直ぐであることがほとんどです。
しかし、くせ毛の人の毛根の形は歪んでいます。毛根が歪んでいるので、毛が伸びても歪んだ状態のまま伸びていきます。
くせ毛と言っても様々な種類があり、一般的には「波状毛」「捻転毛」「縮毛」「連珠毛」の4つに分類されます。

波状毛
日本人で最も多いくせ毛で、湿度が高くなると髪の毛が膨らんでしまい、まとまりがつかなくなるのが特徴です。梅雨時に朝のスタイリングをしても早く崩れてしまう人は、波状毛であることが多いと言われています。
ヘアスタイルによってはクセの出方が面倒になる場合がある一方で、デザインによっては「活かせるくせ毛」という見方もできるクセの種類です。
美容師さんと相談し自分のくせ毛にあった髪型を探してみると直毛より扱いやすい場合もあるクセ毛の種類だと思います。ドライヤーのかけ方が重要になってきます。
髪質改善系メニューで扱いやすくなる場合もありますのでサロンで相談してみてください。
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捻転毛
こちらも比較的日本人に多いタイプのクセで髪が不規則に強くねじれて波状毛を強くしたようなクセ毛で、よく見ると髪一本一本が捻じれてバネのようになっています。
乾燥毛である場合に多くみられるクセ毛のタイプですので、ブラッシングなどで絡んで切れやすくパサつきなど原因となります。
髪質改善系メニューでは改善が難しいレベルのクセですので縮毛矯正で綺麗にしてもらう方がいいと思います。
サロンメニューにまだ抵抗のあるお子様のくせ毛はDAFNIで簡単真っ直ぐセットも出来ます
→→→DAFNI(ダフニ)に関してはこちらの記事をどうぞ

連珠毛
髪の表面がぼこぼこしているという特徴があります。表面がザラザラしており髪の太さも均一ではなく、細い髪や太い髪があります。
日本人の連珠毛は比較的ソフトな場合が多く大体は縮毛矯正で伸びますが、外国人系に多くみられるタイプのの連珠毛は硬めで縮毛矯正をされる際は要注意です。しっかり診断してくれる美容室で施術してもらいましょう。


縮毛
その名通り髪が縮れた状態でなっているのが特徴になります。毛根部分からねじれていることが多く縮れと捻じれが細かくなっていて、クセ毛の種類の中ではうねりが強いタイプとなります。
日本人の場合は同じ縮毛でも髪が細くて弱く、水分や油分のバランスが悪くて手触りは硬くゴワゴワ感があり切れやすい髪質の方が多いのも特徴です。
連珠毛同様しっかり診断してくれる美容室で縮毛矯正を施術してもらいましょう。

まとめ
くせ毛は直毛に比べて髪の毛が傷みやすいともいわれています。
髪の毛はその時々の状態で「普通毛」「乾燥毛」「損傷毛」「脂性毛」と分けることもできます。
毛髪のダメージに対する耐久性は、キューティクルの状態で決まります。
基本的に髪の毛の損傷は毛先から始まります。これは、髪の毛の先端には様々な要因でキューティクルがなく、コルテックスがむき出し状態だからです。
更に、髪の形状がキューティクルに影響をおよぼすケースもあります。
クセ毛は直毛よりも、物理的にダメージを受けやすい傾向にある・・・ これはブラシやクシでとかす際にゆがみのある箇所に無理な力がかかってしまい、キューティクルを剥がしてしまうというケースです。
自分の癖の状態を知りそれに合わせた正しい対処法を見つけ、改善する事が大切です。